今回は社会保障制度と財政についてです。あまり子供たちには馴染みのない世界ですので、新たに覚えなければいけないものがたくさん出てきます。
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人口減少社会と少子高齢社会
少子化の理由としては、結婚年齢が高くなる晩婚化、そもそも結婚しない非婚化などが挙げられます。
女性が最初に結婚する平均年齢って、だいたい29歳なんだって。
みんな30前には結婚したいのかな〜。
合計特殊出生率とは一人の女性が生涯に産む子供の数の平均です。1.2〜1.3ぐらいを推移しています。人口を維持するためには2.07ほど必要とされます。
親は2人なんだから、2を越さなきゃ当然人口は減るよね。
少子化対策としては、育児休業制度の充実などが唱えられています。男性社員も育児休業を取りやすいよう工夫している企業も増えてきたようで、イクメンなどという言葉も一時は流行語になりましたが、まだまだ十分に広がっているとは言えません。
少子化の一方で、日本は世界トップレベルの長寿国です。まずこれは素晴らしいことで、その理由としては医学の進歩や食生活の向上が挙げられます。
日本人の平均寿命は、だいたい男性81歳、女性88歳といったところ。
世界トップレベルってすごいよね〜!
ただし日本の高齢者の割合は29%を超え、これを少ない生産年齢人口で支えなければいけない、という問題があります。
超高齢社会の問題点だね!
日本の社会保障制度
資本主義の発展に伴い、貧富の格差が大きな問題になりました。第一次大戦後のドイツのワイマール憲法では、社会権の考え方が盛り込まれ、弱者を政府が積極的に援助しよう、という制度が先進国で生まれていきます。
これを社会保障制度といい、我が国の憲法では25条生存権を基にしています。生存権とは「全て国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む」権利のことでした。
社会保障の4本柱
日本の社会保障制度は、4本の柱からなっています。覚え方は「シャコシャコ(社公社公)」です。社会保険、公的扶助(生活保護)、社会福祉、公衆衛生の4本柱です。
この記事では一番重要な「社会保険」を解説します。社会保険が社会保障の8割を占めます。なぜなら国民みんながお世話になるものだから。
これは国や地方自治体に、ふだん(弱者になってない時)から万一の時に備えて、お金を納めておくのです。これを保険料といいます。そのことによって、自分が体調を崩すなどで弱者になった時に助けてもらえるのです。
健康保険
病気になった時に、病院の診察券と保険証を持って行きますよね。
あの保険証は、ふだんから保険料を納めている人だけがもらえるカードです。あのカードを見せると、お医者さんにかかった時にかかる費用(例えば1万円かかったとする)のだいたい3割(3千円)ですむ場合が多いです。
ふつうの人間は病気になりますよね。それに備えて、元気な時から万一に備えて保険料を納めておくと弱った時に助けてもらえるのです。社会保険ってそういうシステムだと思ってください。
保険が使えると病気になっても安心ね!
ほんと日本に生まれてよかったよ。
保険がない国もあるの?
発展途上国とかだと、充分な医療が受けられないことがある。世界には社会保障制度を整備するお金がない国も多いんだ。
年金保険
ある一定の年齢になった時から、定期的に一定のお金が支給されます。日本人は平均80歳以上の寿命があり、仕事を辞めてからも20年以上の人生が残されています。ただし財政が厳しいために、支給開始年齢の引き上げが議論されています。
雇用保険
会社をクビにされることもあります。これをリストラといいます。クビでなくても自己都合で辞めなければいけない状況になる場合もあります。収入ゼロじゃあ困りますよね。
次の仕事を一刻も早く探さなければいけませんが、就職って難しいんですよ。次の仕事を探す間の生活費を、この雇用保険でまかないます。これは自治体の「ハローワーク」という施設に申請に行くともらえるようになります。金額は年齢や元々の所得によって変わりますが。「ハローワークにこよう(雇用)!」と覚えましょう。
労働者災害補償保険
「労災」と言われます。仕事中のケガなどした場合に支給されます。
介護保険
2000年から導入された、比較的新しい社会保険です。高齢化にともない、病気などで寝たきりになってしまい、ホームヘルパーなどが必要な高齢者が増えてきました。
ただしヘルパーさんに来てもらうにもお金がかかります。ということで超高齢社会に対応するため、介護が必要な高齢者に、その病状の重さやその人の経済力に応じて必要な金額を市町村が支給していきます。40歳以上の人が積み立て、65歳以上で介護が必要な人にサービスが提供されます。
なお「生命保険」や「災害保険」は、各自が必要に応じて民間の保険会社と契約するモノです。民間の保険会社とはたとえば「日本生命」「第一生命」「東京海上日動火災」など。国や地方自治体が運営する「社会保険」と混同しないようにしましょう。
ともに生きる社会
男女雇用機会均等法は、「職場における男女差別をなくすことを目指した法律」です。1985年制定。これは同年に、日本が女子差別撤廃条約を批准したことによります。
以後の改正によって、性別を特定するような表現での求人募集は禁じられました。
- 看護婦→看護師
- 保母→保育士
- スチュワーデス→客室乗務員(フライト・アテンダント)
- 営業マン→営業職
- 婦人警官→女性警察官
堀ちえみの「スチュワーデス物語」ももはや放送できませんね。
何それ?
男女共同参画社会基本法は、「性別にかかわりなく個性と能力を発揮できる社会」を作ることを目指す法律です。1999年に施行されました。「男は仕事、女は家庭」のような固定化された役割分担を変えていくことを目指すものと理解しています。どの自治体にも「女性センター」みたいな施設があって、本がたくさん置いてあります。ちょっと近寄り難くて行ったことはないですが。
財政の働き
我が国の財政の規模は110兆円を超えます。そのうち「歳出御三家」と称されるのが①社会保障関係費、②国債費、③地方交付税交付金です。
①社会保障関係費は、超高齢社会の日本ではどうしても増大してしまうものです。年間35兆以上の巨額を投入しています。
②の国債費について。「債」には借りるという意味があります。政府の税収が少ない時に債券(国債)を発行して買ってもらい、不足分を補うことがあります。当然、借りた金は利子をつけて返さなければなりません。これが国債費で年間20兆以上を投入します。
③ の地方交付税交付金について。日本は人口分布に偏りが大きく、地方自治体に税収格差が出るため、住民へのサービスにも偏りが出がちです。
その格差を少なくするため、税収の少ない自治体への補助金を出しており、これを地方交付税交付金といいます。使い道は自由。ちなみに最も裕福な自治体は東京都ですが、東京都には交付金は支給されていません。
また国から地方への補助金として「国庫支出金」というのもあり、交付税との区別が必要です。
国庫支出金の使い道の具体例としては、義務教育や道路整備、生活保護などに使われる場合が多いようです。
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