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公民の学習について
さて新小6は今回から「公民(政治・経済・国際)」という新しい分野の学習が始まります。中学入試社会において、あくまで主役は「地理・歴史」です。これらが入試では7〜8割のウェイトを占めます。ただ公民は「時事問題」と絡めやすいためか、分量としては比較的少ないですが、必ず出題するという学校がほとんどです。
公民分野の中で特に重要な回は3、4、6回です。公民の中核部分がここに集中しています。しっかりやりましょう。
また公民は、地歴に比べて「直球知識」の問い方が多いですね。平たく言うと「一問一答型」の問い方が多いということ。これはありがたくて、詰め込みで押し通せるんです。
地理・歴史の方は「変化球応用」の問い方が多くて厄介なんですよ。地理なら地図問題・統計問題、歴史なら年表問題・史料問題と、必ずひねってくるからね。
公民は、ちゃんとやれば得点源にしやすい。比較的美味しい分野であるということです。
日本国憲法の特色
大日本帝国憲法を改正する形で、日本国憲法が制定されました。
憲法・公布の日→1946年11月3日(文化の日)
憲法・施行の日→1947年5月3日(憲法記念日)
公布の日は「ひどくよろこぶいい憲法さ!」と覚えよう。
施行の日はその半年後って覚えればいいのね。
日本国憲法では、「三大原則」なる考えが定着しています。
・国民主権
・基本的人権の尊重
・平和主義
この本は復刻されて、今もAmazonで入手できる。安いし、買ってみてもいいかも。
憲法ができた時に作られた本なんだ。
単なる洗脳本かと思ってたが、取り寄せて読んでみたら意外に分かりやすくて驚いた。
天皇主権から国民主権へ
天皇の地位は、大日本国憲法の時の「主権者」から、戦後は「象徴」へと代わりました。
象徴ってなに?
シンボルのこと。「形のない思想や考えを、形あるもので表すこと」とでも言えばいいかな?
何言ってるか意味わからないけど。
具体的に言おう。平和のシンボルを表す鳥って何か?
ああ、鳩かな。
じゃあ「赤い色」は何のシンボルかわかる?
赤?わからん。
赤は「情熱」を表すんだ。
そうですか笑
126代も続いて、常に日本の歴史とともにあった天皇は、日本そのものを表す「象徴」と考えられるんだ。
天皇は政治に関する権限はなく、形式的・儀礼的な国事行為を行います。その際に、内閣の助言と承認が必要とされます。
天皇陛下は学校で言えば校長先生のような存在かな?校長先生ってふだん授業はしないでしょ?
そうだね。朝礼のお話とか表彰式とかだけかな。
天皇陛下も「法律や制定や予算の議決!」とか実務的な仕事はしないけど、日本の顔として「総理大臣の任命」をしたり「外国の偉い人をお迎え」したりするんだよ。
日本国憲法では主権は国民に存すると定めています。これを国民主権(主権在民)といいます。主権とは国の政治のあり方を最終的に決める力のことです。
平和主義
日本国憲法の中でも、平和主義を定めた憲法9条はよく知られます。
悲惨な戦争を二度と繰り返さないために、戦争放棄や、戦力不保持、交戦権の否認を定めています。
ただし現実には軍隊を持たずに国を守ることは難しい。だから自衛隊がつくられたんだ。
憲法9条と矛盾しないのかしら?
まあ矛盾してるよね。
9条2項 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
憲法を守ろうとすれば、「自衛隊廃止」という極端な結論に行き着いてしまう。だからさまざまな議論がなされているんだ。
基本的人権の尊重
今回の単元である「日本国憲法の三大原則」では①国民主権②平和主義③基本的人権の尊重の3つの内容を学習していくことになります。
一番大変なのは基本的人権の尊重です。覚えることがいっぱいあるから。そもそも基本的人権とは・・イギリスやフランスで初めに唱えられた考え方で、「人間が生まれながらに持っている」とされる諸権利のことです。
君主による過酷な統治に対しての市民革命によって獲得された権利なので、国家権力、国家からの干渉を疑い、制限するという内容のものが多いですね。
ここが日本人には肌感覚としてわかりにくいところですよね。日本は幸いにも本当の意味の専制政治や革命を経験していないから。
自由権
身体の自由
嫌な想像だけど、もしあなたが逮捕されておまわりさんに取り調べされたとしても、現在の日本では拷問されたり傷つけられたりしません。しかし昔は国家による身体的な暴力は当たり前のように行われていました。
ぐえ〜!恐ろしい!
天国かな?
その他、国家による強制労働や奴隷化などを禁じたものも「身体の自由」ですね。奴隷(どれい)というと、これも日本人にはピンとこないでしょうが、アメリカ大陸の黒人奴隷をイメージすると分かるのではないでしょうか。日本国憲法はアメリカ人が中心に作った憲法だから(原文は英語)、こういう内容が入っているのです。
精神の自由
これは頭の中の考えや意見の自由。歴史的には多くの人物が、自分の意見を述べただけで、何の罪もなく処罰された例があります。
吉田松陰は安政の大獄で斬首されましたが、何ら罪を犯していません。反幕府の発言はしていましたが、実行は何もしていない。安政の大獄ってほとんどこんな感じで、井伊大老派から見て「危険人物」とされたら、何の罪もなく処刑されてしまう。かなり理不尽なものでした。
あと思想や言論の自由を奪ったものとして必ず覚えておきたいのは、1925年の「治安維持法」です。本来は社会主義革命運動の阻止として制定されましたが、問題は運用にありました。社会主義者、共産主義者のみならず、自由主義者など、戦前の政府方針に逆らう者の弾圧に利用されたことから、戦前の最大の悪法とされています。
また「精神の自由」の中で、注目したいのは「信教の自由」ですね。これはどんな宗教を信じても、信じなくてもよい自由です。一番イメージしやすいのは、江戸時代のキリスト教禁教ですね。
「政教分離」の原則というものが憲法で定められていますが、政府や地方自治体が宗教的に中立でなければならないという考えのことです。国家が特定の宗教に特権を与えたり、宗教活動を行なったりするのを禁じるものです。
「総理大臣の靖国神社参拝」が「政教分離」の観点から批判されることもありますが、これはちょっと拡大解釈でしょうね。なぜなら総理大臣が伊勢神宮に毎年参拝しても何も批判されないのだから。
経済活動の自由
経済活動っていうのは、生きるために住みたいところに住み、自由に働き、お金(財産)を儲けることです。
「ぼくは野球選手になりたいっ!」「私は先生になりたいっ!」これを職業選択の自由といいます。身分制度の厳しかった時代には、そういう自由がありませんでした。
平等権
すべて国民は法の下に平等であって、人種・考え方・男女・身分・家柄などによって差別されない、という考え方です。
まあ、これは分かりやすいですね。人種差別とかは日本人にはイメージしにくいだろうけど。性差別などは、歴史を思い出してみるとわかります。
1890年に行われた「第1回衆議院議員総選挙」の選挙権の資格を覚えてる?
直接国税15円以上納める満25歳以上の男子だったよね?
女性の参政権が得られたのは、大戦後の1945年でした。これは日本だけが遅かったのではなく、世界的にそうだったのです。
社会権
さて、ここがポイントです。これは今までの自由権、平等権とはちょっとタイプが違う基本的人権ですね。今までの2つは「国家からの不当な迫害や差別から、国民を守る権利」でした。
ところが社会権は逆に「国家に対して、貧困や病苦などで苦しむ国民を守るよう要求する権利」なんですね。
社会権は比較的新しい基本的人権で、20世紀になって確立した人権です。最初に第一次世界大戦後のドイツの「ワイマール憲法」という憲法で保障されました。
資本主義が発達すると競争が激化し、貧富の格差が目立ってきます。豊かな者はどんどん富を集積するけど、貧しい者はご飯や着るものにも困るような状態が現れてきます。
貧しい者はそのまま放置したら死んでしまうでしょう。誰かが弱者を救わなければならない。地獄に落ちる前に、セーフティネットを張ってあげないといけない。
それができる力があるのは国家だけなのです。すべての国民が健康で文化的な最低限の生活を営めるよう(これを生存権という)、転落しないようセーフティネットを張ってくれるイメージです。
具体的に言うと、健康を害した時は「健康保険」、歳をとったら「年金保険」、貧しくて暮らしていけなくなったら「生活保護」など。国から助けてもらえる仕組みです。これらを社会保障制度といい、生存権の考え方に基づいています。
社会権の具体例は「子どもの社会権」、「大人の社会権」に分けて考えると、覚えやすい。
子ども⇨「字も読めない、書けない。足し算もできない」子どもでは、将来使い物になりませんよね、普通。職にも就けないでしょう。だから国は小中学校の9年間は義務教育として、すべての子どもに授業料なしで普通教育をしてくれるのです。
大人⇨子どもが学校だったら大人は? そう、仕事ですよね。勤労権というものがあります。仕事を失った時、ハローワークなどで仕事を紹介してくれたり、または失業保険といってある期間お金を支給してくれます。労働組合で活動するための労働三権(団結権、団体交渉権、団体行動権)も保障されています。
あたらしい人権
日本国憲法も制定されて70年以上経って、だいぶ現代社会との考えのズレが出始めてきました。憲法には明記されていませんが、裁判の判例によって認められた人権を新しい人権といいます。
プライバシーの権利は、個人や家庭内のことを他の人に知られず、干渉を受けない権利のことです。
私は別に秘密なんてないけどね。サバサバしてるから
じゃあ、この間の組分けの偏差値教えて!
ぐぬぬ・・・!
国民が政府(行政機関)に対して情報公開を求める知る権利も認められるようになってきました。
この間のテストの偏差値教えて!
いやよ!
私には「知る権利」がある!
え〜!うそっ!
冗談だよ。知る権利は、政府に対して情報公開を求めるものなんだ。他の人の秘密を知る権利じゃないんだよね。
安心した。プライバシーの権利を侵害してることになるもんね。
公害問題の深刻化にともなって、環境権も認められるようになりました。
自然や都市の街並みの景観を守る考えも強くなってきました。
パリ中心部には高層ビルを建てられないんだ。
たしかに郊外にあるのね。なんでだろう?
パリ中心部は歴史的景観を守るため、建物の高さ規制が決められているんだ。
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