
水道水のふるさとは?
森林から水へ、川から浄水場へ
みなさんが毎日使っている水道水の元は何かわかりますか?答えは雨水です。山に降った雨水を蓄えてくれる森を水源林といいます。

多摩川の場合は上流の山梨県東部〜東京都西部が水源林となっています。東京都水道局は、この貴重な水源林を120年にわたって所有・管理しています。

出典:東京都水道局HP
森の中の土にはミミズや微生物がたくさん住んでいますが、その小さな生き物たちは落ち葉を食べて細かくしてくれます。その結果、森の土はフカフカになり、スポンジのように雨水を蓄えることができるようになります。このような働きがあるため、森林は「緑のダム」と呼ばれるのです。

土に染み込んだ雨水は土の層を通っていく中で汚れが取れて、川に少しずつ流れていきます。この水がキレイになる働きをろ過といいます。

東京の水がめとなる利根川や多摩川の上流にはダムが作られています。多摩川の場合は小河内(おごうち)ダム(東京都奥多摩町)などに水が蓄えられます。小河内貯水池(奥多摩湖)は東京で使われる水道水のおよそ40日分を蓄えることができる大きさなのです。

ダムの水は川に流されると取水ぜきから浄水場へと取り入れられていきます。多摩川の水は羽村取水ぜきや小作取水ぜきから取り入れられています。

浄水場では河川から取り入れた水をキレイにする処理をします。まずは沈殿池で水の中のゴミや砂を沈殿させます。次にオゾン接触池で水の中にある嫌な臭いのもとを分解し、生物活性炭に取り込んで除去します。さらに後段ろ過池で水をろ過し、最後に塩素消毒を施して飲用に使えるレベルまで仕上げていきます。

実は水道の水をそのまま飲める国は、世界でもわずか10か国しかありません(国土交通省発表)。南アフリカ、デンマーク、ノルウェー、フィンランド、ドイツ、オーストリア、アイスランド、アイルランド、スロベニア、そして日本です。日本は世界でトップクラスの水質管理技術に加え、定期的に約200種類もの厳重な検査を行なっているため、安全で美味しい水道水が維持されているのです。

水を大切に使おう!
地球にある淡水は3%ですが、その中には北極や南極の氷も含まれるため、それを除くと私たちが使える水はわずか0.8%しかありません。

また日本は降水量は多いので水資源に恵まれているイメージがありますが、国民一人当たりの水資源量は実は世界平均を下回っています。日本は河川が短いので雨水が短期間で海に流れてしまったり、台風や梅雨など雨が多い時期に偏りがあったりするためです。

そのため普段から節水を行い、水資源を大切に使っていかなければなりません。

節水とか何かやってる?



コップに水をくんで歯磨きしてるよ



えらい!毎日約10リットルの節水になるそうだよ。
(朝夕2回分の歯磨き、出しっぱなしを30秒として計算)



あと、お母さんはお風呂の残り湯を洗濯水に使ってる



それは約90リットルの節水になるね。
(残り湯の半分を洗濯水に使ったとして計算)



お父さんは洗車の時にバケツに汲んでやってる



それは約60リットルの節水になるね






使った水はどこへ?
よごれている水
一般に油分が高いものなどを洗い流すと、川や海が汚され、環境に悪影響を与えてしまいます。そのため水を汚さない工夫も大切です。
- 食べ物は残さず食べる。
- 油のついた皿は、紙で油を拭きとってから洗う。
- 揚げ物の油は、新聞紙で吸い取って可燃ごみにする。
- 米のとぎ汁を植木にあげて肥料にする。


水をきれいにするために
家庭からでた汚れた水(生活排水)は排水管を通って、下水道管(汚水管)に流されます。下水道管は道路の地下にあり、緩やかな下り坂になっているため自然に流れていきます。


下水道管から川や海に直接流してしまったら大変な環境汚染になってしまいますね。そうならないよう、下水処理場でキレイな水に処理していきます。まず沈砂池や沈殿池で水の汚れをゆっくりと沈めて取り除きます。次に反応槽で水に含まれる有機物を微生物に食べさせます。最後に塩素消毒をして川や海に戻します。


かつて下水処理の設備が充分でなかった時代は、汚れた水をそのまま川や海に流すしかありませんでした。川はドブのようになり、悪臭がただよっていました。あまりにひどい環境汚染のために、隅田川の花火大会が中止されたこともあったのです。それが今では多摩川で鮎(キレイな水に住む魚)が見られるくらいに水質は回復しました。


また浄水場でキレイになった水は、再生水として再利用されることもあります。
- 水洗トイレの水
- 公園の噴水
- 冷暖房用の水
- 消防用水
- 機械の冷却水




下水処理の際にでた汚泥を焼いて固めて、レンガや下水道缶の材料に再利用したりもしています。


ごみのゆくえ
捨てればごみ、分ければ資源
家庭から出るゴミは、種類ごとに分けて、決められた日に出さなければなりません。これを分別といいます。


アルミ缶や瓶、ペットボトルや新聞紙などは回収された後に、工場で別のものに生まれ変わります。これはいわゆる「3つのR」のうちのリサイクル(再生利用)といわれるものです。
例えばペットボトルは細かく切り刻んでペットフレークにした後、衣類やカーペット、卵のパックなどとして再生されています。ペットボトルは日本だけで年間2億本も使われるそうなので、それを無駄なく活用できれば大きな資源となりますね。


またスプレー缶などは分別しないと破裂事故を起こすことがあるので注意が必要です。
清掃工場
ゴミの処理方法は、自分が住む市や区ごとに異なります。分別の種類ごとにゴミ収集車が回収していきます。




燃やせるゴミ(可燃ゴミ)→清掃工場→灰を埋め立て地へ
燃やせないゴミ(不燃ゴミ)→埋め立て地
資源ゴミ→リサイクルセンター→リサイクル工場




清掃工場では、金属など再利用できるものを取り出して他の工場に送ることなどもしています。携帯電話などは再利用できる金属が多く含まれることから「都市鉱山」と呼ばれて、積極的に活用されるようになっています。


東京湾の埋め立て地は、江東区の中央防波堤埋立処分場が利用されていますが、あと50年ほどでいっぱいになってしまうと言われています。社会全体でゴミを減らす努力をしていくことが必要になっています。


ごみを減らすには?
ごみの量を少なくする
「3つのR」のうちのリデュースは、ゴミそのものを出さないようにすることです。
- 必要のないものは買わない
- 長く使えるものを買う
- 買い物袋などを断る
「買い物袋などを断る」ような行動をリフューズともいいます。2020年7月にレジ袋が有料化され、エコバッグ(マイバッグ)を活用する人も増えてきました。


くり返し使う
「3つのR」のうちのリユースは、洗ったり修理したりして、くりかえし使うことです。
- ビール瓶をお店に返すと容器保証金5円が返却されます。(販売時に5円上乗せして払ってるので、リユースしないと損なのです)ビール瓶は年間3回転ほどリユースされ、約8年間使用されます。
- シャンプーや洗剤の容器→中身を詰め替えます
- フリーマーケット→お互いの不用品を売り買いします。
- 直せるものは修理してなるべく長く使います。






「修理」して長く使い続けることをリペアーともいいます。
また最近ではインターネットで、不用品を売り買いする仕組みも広まってきました。ヤフーオークションやメルカリなどが利用されています。


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