雨の少ない讃岐平野
香川県の讃岐平野は、中国山地と四国山地にはさまれた瀬戸内海沿岸にあります。
冬の北西の季節風は中国山地にさえぎられます。
一方、夏の南東の季節風は四国山地にさえぎられます。
じゃあ瀬戸内地方の讃岐平野は雨が多いと思う?
夏も冬も雨は少ないでしょうね。
讃岐平野の高松市の雨温図の特徴をつかみましょう。
降水量200㎜と気温0℃のところに赤い線を引きましょう。
水色の棒グラフが降水量を表します。赤い線(降水量200mm)に一度も達していないところがポイントですね。これが少雨県の見分け方です。
とくに8月に雨が少ないね!
梅雨明けの後は、讃岐ではもう雨は降らない感じなんだよ。
上のダム!水少なくね?
これは早明浦(さめうら)ダム。四国の水がめさ。貯水率は40%の状態でけっこうヤバい状況だね。
雨が降らないなどの理由で、長期間の水不足になってしまう被害を干害といいます。
お天気を役立てよう
塩づくり
水不足による干害に苦しめられながらも、人々はその気候・風土を逆利用して、様々な工夫をしてきました。瀬戸内地方で塩づくりは、雨が少なく晴天の多い気候を利用してさかんに行われてきました。
1970年代以降は、塩は工場でつくられるようになり、塩田は姿を消しました。
讃岐の名物・讃岐うどん
うどんの原料となる小麦は、栽培するときに稲ほど水を必要としません。そのため雨が少ない讃岐平野でも、米よりも作りやすい作物でした。良質の小麦に、瀬戸内の塩、また小豆島でとれるしょう油を利用して、古くからうどん作りがさかんでした。
「讃岐うどん」とブランド化されてブームになったのは、意外に新しく1970〜80年代なんですよね。
香川県のうどん屋さんはセルフタイプのお店も多いみたいね。
外国で麺類というとイタリアのパスタが思いうかびます。実は地中海沿岸のイタリアは、瀬戸内海沿岸より雨が少なく、似たような食文化が発達しているのです。
地中海沿岸ではオリーブの生産もさかんですが、実は香川県に属する小豆島でもオリーブづくりはさかんなのです。
四国の旧国名(むかしの名前)を覚えておこう!
香川県➡︎讃岐(さぬき)
愛媛県➡︎伊予(いよ)
徳島県➡︎阿波(あわ)
高知県➡︎土佐(とさ)
・・これらむかしの名前は、今も食べものなど様々なものの名前につけられています。
水を求めて
水が足りない!
年平均降水量が1100mm程度で、全国平均(1700mm)を下回る香川県は、干害を受けやすい地域です。
たくさんのため池
讃岐平野では古くから農業用水としてため池がつくられてきました。多くは江戸時代につくられ、2万を越えるため池があったと言われます。
ため池も小さなものばかりではありません。飛鳥時代に造られ、平安時代に空海というお坊さんによって改修されたと言われる満濃池は、まるでダムのような巨大なため池です。
満濃池、でかっ!ほぼダムじゃん。
ダムと同じように、谷の出口に堤防をつくって造られてるんだよ
自然の地形をうまく利用したのね!
香川用水の完成
讃岐の水不足を根本的に解決するため、1978年に香川用水がつくられました。香川用水は讃岐山脈を導水トンネルでつらぬき、徳島県側を流れる吉野川から讃岐平野に水を送る用水路です。全長106Kmの長大な用水路です。
吉野川上流にある高知県の早明浦ダムに水をたくわえます。
早明浦ダムから吉野川に流された水は、徳島県の池田ダムで水位を上げて、香川用水に取水されます。1秒間に家庭用お風呂50杯分を取水できるそうです。
阿讃トンネルという導水トンネルが讃岐山脈をつらぬいて、讃岐平野に豊かな水をもたらします。
吉野川は高知県と徳島県を流れる四国で2番目に長い川です。(ちなみに1位は四万十川)洪水をたびたび起こす暴れ川で、四国三郎と呼ばれていました。讃岐山脈をはさんで、北側の香川では水不足に、南側の徳島では洪水に苦しんでいました。
香川用水のおかげで、香川だけでなく徳島の悩みも解決したんだよ!
どういうこと?
香川用水の完成によって、吉野川の水が香川県側と徳島県側に分けられたよね?
あっ!なるほど。それで徳島側に行く水が減って、洪水も少なくなったのね。
その通り。これぞ一挙両得だね。
コメント