
今回はいよいよ中部地方です。地方別地理の山場ですね。中部地方は広大な地形、そして工業、農林水産業など産業の中心地のため、覚えることが多いのです。
中部地方の自然
地形
①東海地方は川の識別が重要です。


まず①の川の名前から。富士山のそばにあるね。



わかった!三大急流のあの川ね。



②の盆地も小4で習ってるよ。



②は果物づくりがさかんなところね。





③の台地はわかるかな。静岡名産と言えば?



お茶づくりの盛んな台地ね。



そのあたりを流れる④の川はわかる?



④のヒントは下から。





⑤⑥の辺りには浜松市がある。楽器やオートバイの生産で有名になった町だね。まず⑥の湖はわかるかな?



浜松に似た名前の湖だね。うなぎ養殖が盛んだね。



⑤の川の上流から木材を切り出して、オルガンやピアノ作りに使ったんだよ。



⑤の川の水源は⑦の湖なんだね!⑦って何だろう?



⑦は周辺で精密機械工業や電子工業が盛んなところだよ。またこの川は⑦を水源にして、赤石山脈と木曽山脈の間を流れて太平洋に注ぐんだ。これも重要だよ。







さあ、上の暗記法でA〜Eまで覚えてみよう!



イビキかきながら







ここまでが一番ややこしいところ。
②中央高地には日本アルプスと言われる3000m級の山々がそびえます。


出典:wikipedia


むかしのバスケ・マンガで「スラムダンク」というのがありましたよね。そこに「赤木くん」というゴリラ・ダンクで飛ぶキャラがいました。



日本アルプス、みんな覚えられたかな?テストしてみよう


③北陸地方は日本一長い信濃川の下流に、米どころの越後平野が広がっています。


気候
①太平洋側は凸型になります。夏に降水量が多く、冬場は乾燥します。


②中央高地は周りを山に囲まれているため、年中少雨です。見分けるコツは降水量200mmと気温0℃の線を赤で引いてみること。







降水量が赤線に一度も達してないね。



ホントだ!山がちな土地は年中雨が少ないのね



また冬は寒さが厳しいよ。1月の気温がマイナスになるのが特徴。



ズボって何よ?



氷点下の沼に片足がズボッとハマった感じかな。ちなみに同じ雨が少ない北海道と比較してみようか。





同じ少雨地域でも、北海道は年始と年末の2回マイナスになるね!
少雨県の見分け方は
ズボ!→中央高地
ズボズボ→北海道
・・と見分けよう。
③日本海側は冬に雪や雨の日が多く、凹型になります。


山梨県と静岡県の県境には日本の最高峰・富士山があります。標高は3776mで、暗記法は「皆、成ろう!」とかで覚えます。


富士山は「世界文化遺産」に登録されていることも知っておきましょう。富士山は古くから日本人の信仰の対象となり、絵画や文学など芸術作品の対象として描かれてきました。


中部地方の農林水産業
農業
大井川下流の牧ノ原では茶の栽培がさかんです。暗記法は「お〜い、お茶」です。




静岡では昔から刈り取った草を肥料として茶畑に敷いて、茶を育てています。茶畑の周りに広がる草場を「茶草場」といいます。


愛知県の渥美半島はかつては川の流れが行き届かず、サツマイモや麦しか作れない貧しい土地でした。それが1968年の豊川用水開通により、日本屈指の農業地帯に変貌したのです。今ではキャベツ、メロンなどの生産が盛んです。






渥美半島では電照菊の栽培も盛んです。きくの生産は1位愛知、2位沖縄という並びで覚えておきましょう。


輪中で有名な濃尾平野や、愛知用水の引かれた知多半島では、名古屋市など大都市むけの近郊農業が行われます。



ところで愛知県の半島って見分けがつくかな?



どっちが渥美半島で、どっちが知多半島だっけ?



そういう時は「半島の法則」を使おう。






・・・と他の地域でも使えます。
中央高地では、八ヶ岳山麓の野辺山原でレタスなどの高原野菜の栽培が盛んです。









何これ?レタスと白菜、一緒じゃん!



困ったよ・・。ベスト3までいっしょなんだよ。



どうすんの!



レタスの方が長野が茨城に対して圧倒しているとでも覚えといて。白菜は長野・茨城はほぼ互角です。
盆地ではくだものづくりが盛んです。山梨県はぶどう・ももが全国1位、長野県はりんごとぶどうが全国2位でした。甲府盆地は扇状地が広がり、くだものづくりに適した地形となっています。


出典:en:user:Mikenorton, CC BY-SA 3.0 , via Wikimedia Commons










北陸地方は積雪の期間が長いため、水田単作地帯になっています。新潟県の越後平野は、暗きょ排水によって湿田が乾田化され、コシヒカリ中心の稲作が行われています。








水産業
①焼津港(静岡県)・・カツオ、マグロなど遠洋漁業の基地です。銚子に次ぐ水揚げ量をほこっています。


②浜名湖(静岡県)・・うなぎの養殖池として知られてきました。愛知県の三河湾も盛んに行われています。


中部地方の工業
中京工業地帯
愛知県・三重県と岐阜県南部に広がっています。「中京」とは東京と大阪の間にある、名古屋を中心とした経済圏を指します。約60兆円を生産する日本一の工業地帯です。


愛知県の真ん中あたり、豊田市を中心に覚えていきましょう。豊田市は日本一の自動車工業の町です。豊田市はもとは挙母(ころも)市という名前でしたが、自動車会社のトヨタの発展に伴い、会社の名前を都市の名前にしました。このように企業を中心に発展した町を企業城下町といいます。昔のお城を中心に発展した城下町にならっています。


豊田市の北には陶磁器地帯(瀬戸市、多治見市)が広がります。


瀬戸焼は陶磁器の別名「せともの」の語源となっています。県境をまたいで岐阜県の多治見市は多治見焼に加えて、全国有数の猛暑の町としても知られます。


豊田市の西の伊勢湾沿岸には、重化学工業地帯が広がります。重化学工業は原料の輸入に便利な臨海部に立地する、という知識は以前学習しましたね。


豊田市の西には東海市があり、ここは鉄鋼の町(日本製鉄)です。ここで鉄板をつくって、豊田市に供給します。また伊勢湾を挟んで三重県には四日市市があり、ここには石油化学コンビナートがあります。四日市はかつて工場による大気汚染という深刻な公害問題が発生した町です。


中京工業地帯のグラフの読み取りはカンタンです。機械工業が70%近いという特徴で一目で分かります。


東海工業地域
静岡県全域に広がる工業地域です。静岡一県で一つの工業地域を形成してるんですね。東京と名古屋に挟まれ、陸上交通の便がよい(東名高速道路、東海道線など)ことや、中部山岳地帯からの水力発電、富士山の湧き水など豊富な資源を背景に成長しました。


富士市は豊富な地下水を活かした製紙・パルプ業が盛んです。日本製紙や王子マテリアなどの工場が立ち並び、特にトイレットペーパーの生産量は日本一です。




浜松市は楽器・オートバイづくりが盛んです。明治時代に山葉寅楠という人物がオルガン製作を始めて、これが現在のヤマハにつながります。浜松にはそれ以外にも河合楽器、ローランドなどの楽器の大メーカーが立地します。




オートバイでも浜松市はホンダの創業地であり、かつてはヤマハ、スズキなどのオートバイ工場が多くありましたが、今は郊外か、県外か、海外かに移転しているものが多いようです。特にアジア(インドやインドネシア、ベトナムなど)ではオートバイの需要が多く、そちらに生産拠点を移しているケースが多いようです。


東海工業地域のグラフは、機械工業が50%を超えていることに注目です。


北陸工業地域
新潟県、富山県、石川県、福井県に広がっています。15兆円と大きな経済規模になりつつあります。


化学せんいは福井市を中心に、石川、富山、福井の3県で全国の9割を占めています。


福井県鯖江市は地場産業として、メガネのフレームの生産が盛んです。全国の90%以上の国産めがねわくを鯖江市で生産しています。


富山は江戸時代から「越中富山の薬売り」と言われ売薬が盛んでしたが、その歴史を受け継いで現在も製薬業が盛んで「薬都」とも呼ばれています。


新潟県燕市は江戸時代から釘づくりが盛んでしたが、その金属加工の技術を生かして、大正時代ごろから洋食器が作られるようになりました。ナイフ、フォーク、スプーンなど。


冬の間、雪に埋もれてしまう北陸地方では、家の中でも作業ができる副業として、伝統的工芸品の生産が発達しました。


出典:Yasuo Kida, CC BY 2.0 , via Wikimedia CommonsEG_PICTURE




北陸工業地域のグラフは、見分けにくいのですが、せんい工業の割合が4%と比較的高いのでそこで見分けましょう。


諏訪湖周辺
諏訪湖周辺の諏訪市や岡谷市では古くからさまざまな工業が発達しました。きれいな空気や水が豊富にあるため、工業生産の適地であったのです。






諏訪湖周辺は扇状地が多く、桑の栽培にむいていたため、製糸業がさかんになりました。長く日本の主力輸出品であった生糸の生産を支えてきました。特に「岡谷のシルク」は世界トップレベルの品質と言われました。


第二次世界大戦がはげしくなると、戦災をさけるため、東京などから時計・カメラなどの精密機械工業の工場が移ってきました。衰退した製糸業に代わって、セイコーエプソンから連なる企業城下町が「東洋のスイス」と呼ばれ、大いに発展しました。スイスは高級腕時計で有名な国です。




昭和末期から平成にかけては、プリンターを代表とする情報機器産業が発展しました。近年は電子部品、デバイス、電子回路など、ハイテク分野で日本をリードする製品を作り出しています。


中部地方の資源・エネルギー
信濃川、黒部川、天竜川などの上流や中流には、多くのダムが作られ、水力発電がさかんに行われています。




福井県の若狭湾には多くの原子力発電所が造られています。固い地盤と、冷却水に使える海水が得られることなどから、適地と認められ、「原発銀座」となりました。関西地方の電力の5割は、福井県の原発によってまかなわれています。




中部地方の交通とエネルギー
東西を結ぶ交通路


出典:Hisagi, CC BY-SA 4.0 ウィキメディア・コモンズ経由で(一部加工)
東海道新幹線は1964年10月1日、東京オリンピックに合わせて東京・新大阪間が開通しました。オリンピック開幕が10月10日だったわけだから、ギリギリ間に合わせたんですね。高度成長の頃の日本人がいかにガッツがあったかが分かります。


東名高速道路は、1969年に開通した高速道路で、東京都世田谷区用賀の東京ICから神奈川県、静岡県を通過して愛知県小牧市まで通じています。名神とは小牧ICで直結しています。


東名高速の渋滞を緩和したり、災害時のバイパスを確保しておいたりするために、新東名高速道路の建設が進められています。神奈川県海老名市から愛知県豊田市を結びます。現在、ほぼ9割が完成しています。東名よりも内陸を走るので、高潮や津波で寸断される危険性は少ないですね。


出典:wikipedia
中央自動車道は東京都杉並区の高井戸ICから、東京都八王子、神奈川県相模原、山梨県大月市へと続きます。甲府市からは諏訪まで北上。そこから再び南下し、小牧ICに繋がっています。


列島を縦断する交通路
太平洋側から日本海側を結ぶ縦の交通路も整備されています。
上越新幹線は東京駅から大宮駅、群馬の高崎駅を経由して、新潟駅まで結んでいます。高崎駅からは北陸新幹線と分岐してますね。


上越新幹線は雪国を走る新幹線らしく、スプリンクラーなどの融雪設備が備えられています。上越新幹線の名前の由来は、群馬県の旧国名の上州と、新潟県の旧国名の越後からとられています。ちなみに新幹線名は「上越」ですが、新潟への高速道路名は「関越自動車道」といいます。ここは注意。関越とは関東と越後を結ぶという意味です。


出典:Hisagi (氷鷺), CC BY-SA 3.0 via Wikimedia Commons
北陸新幹線はまず東京・長野間が長野新幹線として1997年に開通しました。翌年の長野オリンピックに合わせた開業でした。そして2015年に金沢駅まで延伸し、北陸新幹線と改称されました。2024年には金沢から福井県敦賀まで延伸する予定です。高崎駅で上越新幹線と分岐しています。
名古屋港
自動車工業の盛んな地域に近い港では、自動車や自動車部品の輸出が多くなります。名古屋港の見分け方は輸出総額が1位で、自動車の輸出が多いこと。トヨタ効果ですね。自動車部品は、海外日系自動車工場に送るためのものです。


追記
長野県の上高地は美しい自然を気軽に楽しめる観光名所として知られます。多くの観光客が訪れることによって環境を壊さないため、自家用車の乗り入れは釜トンネルというところまでとされています。駐車場からは低公害バスに乗り換え、上高地へと向かう仕組みになっています。こういった環境保全の仕組みをパークアンドライドといいます。


岐阜県の白川郷は世界遺産・合掌造り集落があります。


けっこう巨大な家もありますね。


富山県の五箇山にも合掌造り集落はあります。白川郷ほど大規模じゃないけど。


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