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東北地方の自然
地形
山地・山脈
東北地方の真ん中には南北に全長500 kmの奥羽山脈が連なります。その東には北上高地・阿武隈高地、その西には出羽山地が連なります。

川・盆地・平野
川と平野はカップルで覚えていきましょう。
(日本海側)
津軽平野←岩木川
能代平野←米代川
秋田平野←雄物(おもの)川
庄内平野←最上川(三大急流)
(太平洋側)
北上川
↓
仙台平野
↑
阿武隈川
とりわけ重要なのは三大急流・最上川の流路です。

庄内平野(米どころ、港町・酒田市)、新庄盆地(山形新幹線の終点)、山形盆地(おうとう)、米沢盆地(米沢牛、置賜つむぎ)などがポイントです。
湖
青森・秋田県境にある十和田湖はカルデラ湖です。十和田湖は「水清ければ魚すまず」と言われ、魚がいない湖でした。

しかし明治時代に和井内貞行(わいないさだゆき)という人物が、苦心してヒメマスの放流に成功しました。




秋田県には水深(423m)日本一の田沢湖があります。現在はカルデラ湖説が有力だそうです。


福島県には東北最大の湖・猪苗代湖があります。猪苗代は医学者・野口英世をうんだ土地としても有名です。


半島の名前も覚えておきましょう。「半島の法則」で見分けることができます。

気候
太平洋側(岩手県宮古市)と日本海側(秋田県秋田市)の比較


太平洋側の宮古と、日本海側の秋田の夏の気温の比較は、入試の定番です。

太平洋側と日本海側、夏の気温はどっちが低くなると思う?



雨温図を見ると、夏は太平洋側(宮古)の方が低いのね!なんとなく日本海側の方が低いイメージがあったよ。



なんで、太平洋側は夏に気温が低めになるんだろう?
それはやませが関係しています。やませとは初夏に北東から吹く冷たい風のこと。





やませのせいで、太平洋側は夏でも気温が上がらないのね。



やませは秋田までは吹いてこない。理由はわかるかな?



わかった!奥羽山脈がやませを止めてるんだね。



その通り!
夏でも気温が上がらないと冷害になり、米は不足になる場合があります。岩手県出身の詩人であり、農業指導者でもあった宮沢賢治の「雨ニモマケズ」という詩は、冷害の苦しみを歌った作品です。


内陸部


盆地らしく、夏と冬の気温差が大きいですね。1933年に山形市で記録された「40.8℃」は観測史上最高気温として2007年まで君臨していました。フェーン現象が原因でした。一方で冬は寒いです。氷点下になる時も普通にありますね。
東北地方の農業
稲作
東北地方は全国の4分の1の米を生産する米どころです。


畑作
津軽平野ではりんごが栽培されています。涼しくて雨の少ない気候がりんご栽培に適しています。特に津軽平野の中心都市・弘前市は全国の2割を生産するりんごの首都のような町です。






山形県はおうとう(さくらんぼ)の生産が日本一。山形盆地が栽培の中心です。


福島県はフルーツ王国。桃の栽培は山梨県に次いで第2位です。




工芸作物ですが、山形県最上川流域では、古くから紅花の生産が盛んです。紅花は染料や口紅の原料として使われました。






畜産
岩手県は乳牛などが飼育されています。岩手の小岩井農場は、宮沢賢治の詩集「春と修羅」にも描かれました。






東北地方の林業・水産業
林業
青森県の津軽ひば、秋田県米代川流域の秋田すぎは日本三大美林に数えられます。




天然秋田すぎは樹齢200〜250年と言われ、秋田県北部の米代川流域に分布しています。




水産業
親潮(千島海流)と黒潮(日本海流)の二つの海流が出会う三陸沖から銚子沖にかけての潮目(潮境)といわれる場所には、餌になるプランクトンがたくさんいるため、魚が多く集まります。また三陸海岸はリアス海岸のため、漁港をつくるのに適しています。


八戸港(青森県)・・いかの水揚げ日本一です。


かきの養殖は広島県や宮城県、岡山県で盛んです。かきイカダで垂下して、約三年育てます。三年経つと一本のロープは重さ200kgにも育っているそうです。




東北地方の工業
空港や東北自動車道周辺に、電子工業が進出しました。衰退傾向にありますが、東北道周辺は「シリコンロード」と呼ばれていました。


また2011年の東日本大震災以降、トヨタは東北への復興支援のため「トヨタ自動車東日本」を設立。宮城と岩手に工場を置き、東北のものづくりを支えています。ヤリスなどのコンパクトカーを生産しています。


出典:Comyu, CC BY-SA 4.0 , via Wikimedia Commons
代表的な伝統的工芸品
山形県天童市では江戸時代から将棋駒がつくられます。江戸時代の天童藩は、織田信長の子孫によって治められていました。




岩手県盛岡市などでは南部鉄器がつくられてきました。北上山地の砂鉄など、材料に恵まれてきたことから発展しました。


青森県弘前市などでは津軽塗がつくられます。東北地方の漆器では、福島県会津若松市の会津塗も有名です。


宮城県大崎市鳴子(なるこ)温泉などでは宮城伝統こけしがつくられます。




山形県南部の米沢市などでは、置賜紬(おいたまつむぎ)と言われる織物がつくられてきました。江戸時代から米沢を治めた上杉氏が奨励したため、さかんになりました。


北海道地方の自然
地形
山地・山脈


中央には石狩山地がそびえます。


大雪山(たいせつざん、だいせつざん)は独立峰でなく、北海道最高峰の旭岳(2291m)を含む山々です。


北海道南部には日高山脈がそびえます。急峻で知られ、日高を横断する交通路は近代まで存在しませんでした。




日高山脈は海岸ぎりぎりまで迫っていて、道路づくりは困難を極めました。海沿いの国道336号は「黄金道路」と呼ばれています。名前の由来は「黄金を敷き詰められるほど、建設に莫大な費用がかかった道路」で、一般国道の何と10倍もの建設費用が投入されたと言われます。


羊蹄(ようてい)山は別名「蝦夷(えぞ)富士」と言われます。北海道はかつて蝦夷地と呼ばれていました。


川と盆地・平野
中央の上川盆地から石狩平野を流れる石狩川は、日本第3位の長さ(268km)を誇ります。しかしかつては信濃川に迫る国内2位の長さ(約365km)でした。治水工事により、人間の手によって短くされたのです。


石狩川はかつては広範に蛇行した川で、洪水を繰り返していました。明治時代の終わりから行われた治水工事により、流路は短縮したものの安定し、洪水も激減しました。各地に残された三日月湖はかつての蛇行の名残です。


出典:Ministry of Land, Infrastructure and Transport of Japan
湖
東部には透明度の高い摩周湖、まりもで有名な阿寒湖があります。ともにカルデラ湖です。








北海道南部には洞爺湖、オホーツク海沿岸にはサロマ湖があります。






サロマ湖は海水と炭水が混じり合った汽水湖です。


出典:Global Land Cover Facility (GLCF)
サロマ湖はホタテ貝の養殖でも有名ですね。


気候
北海道は梅雨や台風の影響をあまり受けません。降水量は少なめになり、200mmのラインを越えることはありません。
日本海側(札幌市)


内陸部(旭川市)


上川盆地に属する旭川市は、盆地らしく夏と冬の気温差が大きいですね。特に冬の寒さはすさまじい。1902年に旭川市で記録された−41℃は現在も観測史上最低気温です。ただし夏はそこそこ気温が上がるので、稲作も可能になります。


東部(根室市)


冬の寒さは当然厳しいのですが、夏も気温が上がりません。平均20℃いきませんね!これでは農耕は難しい。道東では春から夏にかけて濃霧(海霧)が発生します。


オホーツク海沿岸では、1月〜3月ごろまで流氷が流れ着きます。




北海道地方の農業
稲作
北海道では、上川盆地や石狩平野で稲作が盛んです。もともとは熱帯作物である稲を栽培するため、寒さに強い品種改良が行われた結果、北日本は稲作王国となったのです。


ブランド米を覚えておきましょう。
北海道・・「ななつぼし」「ゆめぴりか」
宮城・・・「ひとめぼれ」
山形・・・「はえぬき」
畑作
十勝平野などでてんさい、じゃがいも、豆類などの輪作が行われています。輪作とは1つの土地で一定の順序で異なる作物を周期的に栽培することです。栽培する作物を毎年変えることで、大量の作物を安定的に栽培することができます。


輪作をすることによって、連作障害を防ぐことができます。連作障害とは、同じ土地で同じ作物を何年も続けて作ることによって、養分のバランスが崩れて取れ高が減ったり、病虫害が起こりやすくなることです。





アジャコングっていうのは女子プロレスラーで、めちゃくちゃ強かったのです。
あ⇨小豆
じゃ⇨ジャガイモ
こング⇨小麦
だい⇨大豆
天才⇨てんさい


畜産
北海道は乳牛・肉牛の飼育頭数は日本一です。特に根釧台地では大規模な酪農が行われています。


乳牛はホルスタイン種が中心です。名前でわかるように、原産は日本でなくヨーロッパ(オランダ)です。オランダの緯度は北海道より北の樺太あたりのため、ホルスタインは寒さに強く、北海道での飼育に適しています。逆に暑いと乳の出が悪くなるとか。


北海道の農業のまとめ
稲作中心・・石狩平野、上川盆地
畑作中心・・十勝平野
酪農中心・・根釧台地


北海道の農業のモデルとなったのは、アメリカ。札幌農学校(現・北海道大学農学部)にて近代的な農法を指導したのが、アメリカのクラーク博士です。クラーク博士は「少年よ、大志を抱け」の名言で有名ですね。




北海道地方の水産業
水産業
釧路港(北海道)・・かつては水揚げ高日本一だったこともあります。すけとうだらなどが多く水揚げされます。


北海道ではホタテ貝や昆布の養殖がさかんです。国内の昆布の7割は北海道で採られます。利尻昆布、日高昆布、羅臼昆布などが有名です。




北海道地方の工業


北海道では農業王国の特性をいかして、食料品工業がさかんです。政令指定都市・札幌ではビールや乳製品がつくられています。




苫小牧では、製紙・パルプ工業がさかんです。「とまこまい」の漢字に注意しましょう。「枚」でなく「牧」です。王子製紙によって発展した企業城下町です。元々人口3000人くらいの寒村だった苫小牧に、王子製紙が明治時代の終わり頃にやってきて、現在人口17万の都市を作っていったというイメージですね。


苫小牧は石油精製もさかんで、港は石油タンクだらけです。日本最大の国家石油備蓄基地も存在します。


苫小牧港は日本最初の掘り込み港です。千歳や札幌への近さから物流の拠点となっています。


室蘭は100年以上の歴史を誇る「鉄の町」で、鉄鋼業がさかんです。日本製鉄(旧・新日鉄住金)の企業城下町で、現在の製品の多くは自動車関連に使われています。




東北・北海道の観光地
世界自然遺産の知床には原野が広がります。








青森〜秋田県境には世界自然遺産の白神山地があります。ブナの原生林で知られています。


岩手県平泉は平安時代の末期に栄えた都市で、世界文化遺産に登録されています。奥州藤原氏という豪族が治めていましたが、源頼朝によって滅ぼされました。金ぱくがはられた中尊寺金色堂は圧巻です。この金色堂には栄華を誇った奥州藤原氏のミイラが収められています。


北海道・北東北の縄文遺跡群は2021年に世界文化遺産に登録されました。1万年以上にわたり採集・漁労・狩猟により定住した縄文時代の人々の生活と精神文化を今に伝える貴重な文化遺産です。


釧路湿原は日本で初めてラムサール条約にも登録されました。ラムサール条約とは「水鳥の生息地として重要な湿地」を保護するための国際条約です。




















コメント
コメント一覧 (2件)
今まで参加した社会のブログと本の中に一番わかりやすく、覚えやすくのブログです。
本当に感謝しました。
コメントありがとうございます。またよろしくお願いします。